「日経ビジネス」に記載されていた記事(鈴置高史寄稿)を紹介します。
これを読むと、今の韓国の異常な反日の理由の一端が垣間見られます。
簡単に言えば、
強大化する中国を恐れ、親米・親日政策をとることが出来なくなって
怯えている韓国と言う図式です。
朴大統領の個人的な反日と言うのもあるのでしょうが、
それにしても異常な反日。
韓国人の一部識者にも、異常と映っているようです。
もし中国が韓国を飲み込むようなことになったら、
次は日本を狙ってくることは容易に想像できます。
そんな時に、日本はどうするのか?
今のうちに考えておく必要があるのでは?
以下、日経ビジネスからの記事の引用です。
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「異様な反日」を生む「絶望的な恐中」
「朴槿恵政権の急速な中国傾斜を、ごく普通の韓国人はどう見ているのか」――。今回も、読者から寄せられたこんな質問に答える。
米国は人気NO.1
鈴置:確かに、韓国人の多くは親米感情を色濃く抱いています。グラフは韓国の東アジア研究院という組織が、今年5月に発表した「安保危機と韓国人の安保意識」という調査報告書の結果です(注1)。
(注1)この調査報告書(韓国語)はこちらで読める。
2013年4月時点で、米国に対する平均的な好感度は71点。中国の53点、日本の41点を大きく引き離しています。
北朝鮮の激しい核威嚇の最中に聞いていますので、韓国を守る米国への評価がその分、高めに出ていると思われます。それでも2008年以降は常に60点を上回っていて「米国が一番好きな国」であることは間違いありません。
反米運動は韓国人の甘え
2004年と2006年分がやや低いのは、いずれも盧武鉉という異様な大統領が執権した時期で、政府もメディアも反米ムードを煽っていたからと見られます。
東亜日報(10月30日付)によると、同社が今年9月に実施した意識調査でも「韓米同盟が必要だ」との回答が何と96.0%を占めています。どの調査を見ても「米国との関係を重視すべきだ」と考える韓国人が圧倒的に多いのです。
もちろん、韓国にも時々、反米ムードが高まります。しかしそれは、熱病のようなものです。
「米軍の装甲車に女学生2人が殺された」とか「輸入された米国産牛肉を食べると、韓国人は狂牛病にかかる」などとメディアが煽ると、ソウルの中心部がマヒするほどの群衆が反米デモに参加します。
ただ、少し時間がたつと憑き物が落ちたように反米運動は収まります。米国に安全保障を完全に委ねていることもあって、韓国人は基本的には親米。でも、あまりに依存し過ぎている自分が時々嫌になって「反米ごっこ」をやって見せる――そんな感じです。
少々反米をやっても、米国には怒られない、見捨てられない、との甘えもあるのでしょう。
恐中が突き動かす離米従中
鈴置:台頭する中国が怖いからです。もともと、隣の大国、中国は何をするか分からない恐ろしい国、と韓国人は思っています。だから中国が巨大になった今、米中双方から異なる要求を突きつけられると、韓国はつい、中国に従ってしまうのです。
より分析的に言えば、政府は中国との摩擦を恐れ「離米従中」政策をとらざるを得ない。国民も感覚的にその背景は分かっていますから、嬉しくはないけれど、それも仕方ないとあきらめて見ている。
まず「従中」があってその結果、心ならずも「離米」になるわけです。米国が嫌いだから「離米」政策をとるのではありません。私が「離米従中」と書いても「反米従中」と書かないのはこのためです。
米国主導のミサイル防衛(MD)への参加、日本との軍事協定の締結、米日韓3国軍事協力の強化――。いずれも米国が強力に求めた案件でしたが、中国の顔色を見て朴槿恵政権が拒否しました(「ついに米国も韓国に踏み絵を突きつけた」参照)。
日本との軍事協定については、メディアは韓国政府が掲げる「日本の歴史認識が誤っている」「日本が軍国主義化している」との理由をいまだに引用します。
でも、そう書いている記者も「本当は中国から応じるな、と言われているから」と分かっています。日本人から「従中」と見なされると、面子がつぶれるのでしょう。
MDや3国軍事協力に関しては、韓国メディアも「中国の反対があるから米国の求めには応じられない」とはっきりと書くようになりました。ことにMDは、日本と絡めて拒否しにくいのです。
丙子胡乱の辛い記憶
鈴置:「地理」だけが理由ではありません。中国の言うことを聞かなかったため、殴りつけられ踏みつけられた屈辱の「歴史」による部分も大きいのです。
11月1日、韓国の歴史学者、ハン・ミョンギ明知大学教授が『丙子胡乱』(ピョンジャ・ホラン)という歴史小説の出版記念会を開きました。
韓国の各メディアはこれを大きく取り上げました。「丙子胡乱」こそが、現在の韓国人の対中恐怖心の源であり、現在の国際情勢と二重映しになる歴史的事実だからです。
これは丙子の年――1636年の12月、「後金」から国号を変えたばかりの清帝国が、服属を拒んだ朝鮮朝(李氏朝鮮)に大量の兵を送って攻撃し、2カ月で降伏させて冊封体制に強引に組み込んだ事件です。
野蛮人に土下座
この戦争は今でも韓国人のトラウマになっています。清は女真族に建てられた国家です。朝鮮人は彼らを自分よりも劣った野蛮人として見下していた。その女真族に戦で負けたため、当時の王様、仁祖は土下座して和を請わざるをえなかった。
漢民族に服属するのならともかく、野蛮人の建てた清帝国の属国になるとは大いにプライドが傷ついたのです。
ちなみにその少し前には、同じく野蛮人の日本が攻めて来ました。しかし、明に助けられて撃退に成功しています。だから7年間に及ぶ日本の侵攻よりも、たった2カ月間で終わった「丙子胡乱」の方が大きな事件だった、という韓国人も多いのです。
今でも、当時に清が朝鮮に建てさせた「大清皇帝功徳碑」がソウル市内に残っています。「愚かな朝鮮王は偉大な清皇帝に逆らった。朝鮮王は猛省し、この碑を建てた」との文言が碑に刻まれています。
それに敗戦の結果、数十万人の朝鮮人が捕虜として連れ去られ、多くは戻れませんでした。敗戦に続く冊封体制下でも「清国に逆らった朝鮮」は大量の朝貢品や若い女性を送らざるを得ませんでした。
秀吉よりも酷い女真族
鈴置:単行本で出たのは2013年秋ですが、ベースになった作品は2007年1月から2008年12月まで、ソウル新聞という全国紙に連載されました。
この頃からです、韓国の友人から「野蛮人に土下座した情けなさ」や「中国への怒り」を聞かされるようになったのは。この新聞小説を読んだり、あるいはその影響を受けた人たちでした。
ある友人が「秀吉よりも清の方が酷かった」と私に語るので「日本人相手に気を使っているのか?」と冷やかし半分で聞き返すと、「強大になった中国は必ず韓国を苛めるだろう」と暗い顔で答えるのです。
1ページのグラフで2006年までは米国と並んでいた中国の好感度が、2008年からはガクンと落ちています。
「高句麗は中国の地方政権だった」という中国の公式見解がこの頃に韓国でも知られたことが原因だったと、東アジア研究院の「安保危機と韓国人の安保意識」は分析しています。でも、この新聞小説の影響も見逃せないと思います。
「最終兵器 弓」
2011年、丙子胡乱の時代を背景にした映画「最終兵器 弓」が韓国で封切られました。妹を女真族にさらわれた、弓の天才的な使い手が、家宝の魔弓でウンカのごとき敵をなぎ倒してハッピーエンド――という娯楽大作です(注1)。
(注2)日本では「神弓―KAMIYUMI―」のタイトルで2012年に公開された。
総人口が5000万人の韓国で747万人の観客を動員したといいます。15%もの韓国人が観たわけです。個人的には妹を取り戻すものの、国全体は恐ろしい清に蹂躙されてしまう、というこの映画が韓国人の「恐中」を加速したと思われます。
鉄の甲冑で身を固めた無敵の鉄騎兵。彼らが予想以上の進撃速度で攻めて来る。抵抗する術はなく、ただ殺されるしかない――。再び注目を集めた丙子胡乱は「中国には軍事的に逆らえない」という絶望的な弱気を、韓国人の心の底から掘り起こしてしまったのです。
米軍がいなければ北に負ける
鈴置:その通りです。11月5日の韓国国会の国政監査で、国防省の高官が「米軍が助けてくれなければ北朝鮮に負ける」と語って問題になりました。予算規模が何十分の一の北に負けると言うのか――との批判です。
ただ、多くの韓国人も内心そう思っていますから「本当のことを責任者がしゃべってしまった」ことこそが問題になったと考えるべきでしょう。
「安保危機と韓国人の安保意識」でも「駐韓米軍を除いた時、南北のどちらが強いと思うか」と聞いています。答えは「北朝鮮が圧倒的に優勢」が19.0%、「北朝鮮がやや優勢」が36.1%。過半の韓国人が「北の方が強い」と考えていることが分かります。
ちなみに「南北の軍事力は同等」が23.3%、「韓国がやや優勢」が20.8%で「韓国が圧倒的に優勢」は何と3.8%に留まっています。北朝鮮にも勝てないと思っている韓国人が、中国に対抗しようなどとは絶対に考えません。
今、日本は「尖閣」で中国と対峙しています。「団結すれば何とかなる」と日本人は無意識に考えているように私は思います。それも元寇や日清戦争、日中戦争で大陸の国家に勝ってきた経験があるからです。
でも韓国人は、大国の助けを借りてようやく侵略者を撃退できたのです。文禄・慶長の役も――韓国ではそれぞれ壬辰倭乱、丁酉倭乱と言いますが、これらもそうですし、朝鮮戦争もそうです。
また、しばしば指導層の派閥抗争によって国力を落としたうえ、国の針路がブレて、外国に付け込まれることにもなりました。丙子胡乱の時もまさしくそうだったのです。
再び「元」や「清」になる中国
鈴置:実にいい質問です。中国の台頭が意識され始めた21世紀初めごろには韓国人は「巨大な中国を恐れることはない。宋や明など漢民族の王朝とはうまくやってきた。我が国が侵略されたのは、元や清など非・漢民族の王朝からだった」と語っていました。
そこで私が「今の中華人民共和国を“漢民族王朝”と見なせるのか」と聞くと「漢民族中心の国家だから大丈夫」と答えたものです。経済発展すれば韓国のように民主化するだろうから――という含意もそこにはありました。
しかし、10年たった今、そう答える人は少なくなりました。中国は国力を増すほどに国内の少数民族への弾圧を強めています。韓国に対してもどんどん傲慢になってきており、宋や明とのような穏やかな冊封体制が維持できるとは、期待できなくなったからです。
2007年ごろから「中華人民共和国は、我々を苛めぬいた元や清になるのではないか」と韓国人が恐れ始めたところなのです。
鈴置:その通りです。一部の韓国人でさえ、朴槿恵政権の「異様な反日」には違和感を抱き始めました。韓国各紙に「行き過ぎた反日」を諌める論評が載るようになりました(「『卑日』で前面突破?逆切れの韓国」参照)。
でも、朴槿恵政権がそう簡単には反日を止められないのは「絶望的な恐中」があるからです。韓国紙がどう諌めようと、世界が「元首が世界で隣国の悪口を言って歩く奇妙な国」と見ようと、朴槿恵の韓国は「離米従中」「従中卑日」路線を堅持する可能性が大です(「日米同盟強化で逆切れした韓国」参照)。
以上
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